葉丙成:確率の授業からゲーム教育革命へ
30秒で概観: 台湾大学電気工学部教授の葉丙成氏は、2013年に学生を率いてPaGamOを開発しました。これは学生が「モンスターを倒して領土を占拠する」仕組みを通じて学科学習を練習するオンラインゲームです。2014年、PaGamOは世界1500件の応募案の中から選ばれ、Wharton-QS Reimagine Education Awardを受賞しました。彼の最もよく引用される言葉は「学生は学ぶことが嫌いなのではなく、退屈な学びが嫌いなのです」です1。
ある確率授業での反逆
2012年、台湾大学電気工学部の確率授業の一コマで、葉丙成氏はある決断を下すきっかけとなる出来事に直面しました。成績優秀な学生たちが教室に座っていながら、その視線は窓の外へと漂っていました。彼らは公式を暗記することはできても、なぜそれを学ぶ必要があるのかを真に理解していなかったのです。詰め込み教育は「正解を出す」能力を十分に鍛える一方で、「知りたい」という本能を次第に消し去っていました。
彼はまず「反転授業(Flipped Classroom)」から着手することにしました。学生は自宅で動画を視聴して予習を行い、授業時間は議論や問題解決に充てるという方式です。当時の台湾では異例の取り組みでしたが、彼の授業の雰囲気は劇的に変化しました。しかし、彼はさらに一歩進めようとしていました。
PaGamO:教科書をゲームに包む
2013年、葉丙成氏は学生と共にPaGamOを開発しました(名称は台湾語の「打Game学(ゲームをして学ぶ)」に由来します)。設計のロジックは極めてシンプルです。学生がゲームを好むのは、ゲームには即時フィードバックがあり、競争要素があり、達成感を得られるからです。では、なぜこれらの仕組みを学習に取り入れないのでしょうか。
PaGamOでは、学生は問題に答えることで仮想地図上の領土を「占拠」します。クラスメート同士で競い合う仕組みです。正解すれば版図を拡大でき、不正解なら他のプレイヤーに侵攻されます。ゲーミフィケーションの外装で覆われているのは、実際の学科学習コンテンツです。学生は城を攻め落として負けたくないがために、自ら公式を調べるようになります2。
2014年、PaGamOはWharton-QS Reimagine Education Awardの選考で最高賞を受賞し、世界1500件以上の教育イノベーション案を退けました。この受賞により、台湾の教育イノベーションが初めて国際的な注目を集めることとなりました3。
その後、このプラットフォームは台湾全土の数千校に導入され、香港やシンガポールなどの教育市場にも進出しました。科目は数学、英語、プログラミングなどを網羅しています。
ツールから観念の戦場へ
葉丙成氏の取り組みはツールの開発に留まりませんでした。彼は長年にわたり公開フォーラムなどで進学制度、素養教育、デジタル学習について発言を続け、多数の教育関連著作を出版し、ソーシャルメディアで多くのフォロワーを獲得しています。
彼の核心的主張は一貫しています。台湾の教育は学生に「正解を出す」能力を訓練する一方で、「良い問いを立てる」能力や「実社会の問題を解決する」能力を育んでいないというのです。彼は、AIが「記憶と計算」を急速に代替する時代において、台湾の学校はいまだに最も代替されやすい能力を試す入試を行っていると指摘します。この批判は教師個人に対するものではなく、制度全体の設計に対する疑問です。
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参考資料
- 葉丙成氏は多数の公開講演やメディアインタビューでこの言葉を繰り返し引用しており、TEDx Taipei 2014や『天下雑誌』の教育特集でも紹介されています。原文は各メディアの報道を参照してください。↩
- PaGamOのゲーム機制については、PaGamO 公式紹介を参照してください。領土占拠機制はプラットフォームの核心設計であり、即時競争と知識テストを組み合わせたものです。↩
- Wharton-QS Reimagine Education Awards 2014 — 世界教育イノベーション大賞。毎年最も画期的な教育イノベーション案を選出します。PaGamOは2014年に「最優秀ゲーミフィケーション学習賞」の最高賞を受賞しました。↩